若手研究者の育成・長期雇用及び常勤研究者増加のための予算確保についての要望書

2010年2月28日 首相官邸へ送信したメール内容。


 
内閣総理大臣 鳩山由紀夫様、 

はじめまして。 
現在、NASA Goddard Space Flight Centerにて 
客員研究員をしています安成哲平(やすなりてっぺい)と申します。 
Twitterや鳩カフェをいつも拝見しております。 

今日は、一若手研究者として、日本における若手研究者の就職難についての 
ご理解及び常勤研究者の雇用増加のためのお願いをしたいと思いまして、 
ここにメールさせていただきました。 

これまで様々な研究者や大学・研究機関から若手研究者や常勤雇用増加について 
意見を既にいただいておられるかとは思いますが、 
日本から海外へ出た(流出した)若手研究者の一人としてもこのことについて 
お願いしたいと思いました。 

現在、若手研究者はポスドクを転々とし、人によってはポスドクすらありつけずに 
日々経済的な不安をかかえながら、研究をしております。 
資源の少ない我が国において、頭脳を主体とした 
科学・技術・文化的知的研究というものの発展こそが国力を支えるために非常に大切です。 
そのための人材育成と育成した人材がその能力を最大限発揮できる研究の場が 
常にあるということが上記の発展のためには欠かせません。 
しかしながら、大学・研究機関における常勤研究者の雇用は増えるどころか 
減少しております。 

1990年代に開始された「大学院重点化」を含む科学技術基本計画により, 
大学院生が大幅に増加しましたが大学院修了後の常勤ポストがないため, 
常勤職に就けないポスドク研究員が現在も多数おります。 
人材育成というのは非常に時間がかかるもので、今のポスドク研究者が 
常勤職を得られず、経済的難から研究者をやめていくことが起こりうる状況では、 
一番研究推進の力になる若手研究者層にぽっかり穴が空くこともないとは言い切れません。 
もし、そのようなことがおこればもう取り返しがつかなくなると思っております。 

私自身が海外へ出たもの、国内に研究をする居場所が見つからなかったためであり、 
その場合、海外で職が見つかれば海外へ出ない理由がありません。 

現在のような若手研究者の就職難がある日本において、 
若手研究者の海外流出は自然な流れと言わざるを得ません。 
私自身も海外で得た研究技術・知見をいずれ日本へフィードバックしたいと思って 
日々研究をしておりますが、その機会がなければ日本へ帰ることもできないと 
思っております。 

現在、私の分野である気象系分野においても、 
個人的にポスドクの就職支援(SySPDMet:  [LINK-SySPDMet])を 
行っていますが、常時、次のポストを探している若手研究者が後を絶ちません。 
また、所属しています気象学会において行いました若手研究者にたいするアンケートでも 
深刻な結果がでております。一科学分野内でのアンケート結果ですが、 
他の研究分野でも同様な深刻な状況があると思われます。 
一度、アンケート結果について、目を通していただければ幸いです。 
いかに、若手研究者が日々経済的な不安定を考えて、 
研究に従事しているかが伝わるかと思います。 

若手研究者アンケート結果: [LINK-Tenki-MSJ]  

アンケート結果に対する一若手研究者の分析・提言: [LINK-Tenki-MSJ]  

国の予算配分においては、研究費以外においても優先する項目が多いことは 
よくわかっております。その上でも、お願いしたいのは、 
研究・科学・技術に対する予算配分の中で、現在、 
若手研究者の育成及び常勤職につけないでいる若手研究者を
長期雇用するための予算だけは決して削減することなく、
どんな苦しい状況においても 
日本の科学・技術・文化的知的研究が揺るがないための
研究者育成と長期雇用について予算を確保していただきたく思います。 
それが長い目で、日本の国力を支えるということに必ずつながってきます。 

私のような一若手研究者の意見で、現在の若手研究者の就職難がすぐに 
改善するとは全く思っておりませんが、日本から海外へ出た一若手研究者として、 
なんとかこの深刻な状況を国としても真剣に改善に向けて取り組んでいただきたく思い、 
ここにメールさせていただきました。 

いかに各大学・研究機関が努力しようとも、 
若手研究者の育成と常勤雇用の増加のための予算が国として確保されない限り 
この問題の改善は難しく思います。 

この一若手研究者の意見が少しでも伝われば幸いです。 
どうかよろしくお願い致します。 

2010年2月28日 
NASA Goddard Space Flight Center客員研究員(GEST/UMBC所属) 
安成哲平



[戻る]